「味覚の秋」とはよく言ったものだ。秋になると「これは食べなきゃ先に進めない」っていうものが目白押し。
「すや」の栗きんとん、これははずせない。 去年は栗が不作だったらしく例年より風味に欠け残念だったが、今年はその面目躍如って感じでおいしい。 エスプレッソにも合う。同じ栗でも稲豊園の「栗寄せ」、これには渋い緑茶がいい。 普段は食後のお茶もおやつのときもサンピン茶なのだが、このときばかりは緑茶を淹れる。 栗蒸し羊羹や栗羊羹には形状は似ているがやはり全然違うおいしさ。
お彼岸の「おはぎ」はそれだけで夕食のおかずと主食である。 島あずき、きなこ、あぶらえ(えごま)のをそれぞれ13、7、5個ずつ作る。 秋刀魚は辛い大根おろしとシークヮーサーを添えて。輪切りより櫛形のほうが絞りやすい。 軽いガメイを飲みながらでも合うが、ご飯も加わると味が三角関係になり食べにくい。 どちらかは我慢。
秋場農園のラ・フランス。ここのは上等。 今年は5kg注文。 表面に褐色の斑点が増えて見た目が悪くなってきたら熟して食べ頃。 なるべく熟したものから順番に食べるわけだが、 届いたすぐは週に1つか2つ味見する程度でも、熟すときには一斉に熟すので大あわてで食べなければならない。 次は生のポルチーニの出回る時期になる。 でも5cmそこそこのが3つで1000円!手が出ない。 年中ある乾燥もので我慢してポルチーニのじゅうしい(リゾットとどこが違うのかと言われると困るが)。 でもおいしい。
ボージョレ・ヌーヴォー、解禁日近くのものは航空運賃が値段の半分近くを占めていてアホらしいのだが、 分かっていても買ってしまう。 ボージョレ・ヌーヴォーよりボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォーのほうがワインらしくてしっかりした味だが、 特にジョルジュ・ドゥブッフのとルイ・ジャドーのが好み。 それが終わると今度はシュトーレンの季節だ。 今年こそは自分で作ろうと思いつつ毎年「TRAIN BLEU」に注文してしまう。 12月初めからひと切れずつ食べてクリスマスイヴに最後の一切れを…のはずが、 その前になくなってしまう年もあった。
クリスマスにはカボチャと小豆の炊いたのを食べる。 子供の頃はこれをいっぱい食べないと「あんただけ正月がこないよ」と言われ、苦労して食べたものだ。 今はむしろ何度も食べたいぐらい好きだ。 年越しの晩はやはりブリの照り焼き。 これも子供の頃には「これをちゃんと食べないと…」という、お年玉獲得のための第2の関門だった。
こうして冬ごもり(?)用に体重を増やすわけだが、 友達には「何だか、いつも食べることばかり考えてるのね」と言われる。 確かにそうだ。 娘も私と同じ顔をしているだけあって同じ(がちまやーな)性質を持っているようだ。 おかげで特に嫌いなものもなく、 私のおいしいと思うものを喜んで食べて「へし」(おいしいの意味らしい)と言ってくれるし、 知らない食材への興味も人一倍強い。 食べさせるのが楽なだけでなく、作り甲斐があるというものだ。
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