外付けのSCSIディスクがクラッシュした。 10年近くずっと動いてきたディスクでいつ壊れても不思議ではなかった。 ただ、メイルやNetNewsの環境、数万通のメイル、いままでに蓄積してきた翻訳の仕事のノウハウと環境、 料理のレシピ、その他数え切れないぐらいの雑多なメモ書き、 ぜんぶ一度に無くなってしまったのはさすがにつらい。 しかもS社の原稿の締め切り直前だ。 幸い本文部分はバックアップがあったので助かったが、リストや附属文書は全部やりなおしだ。 急いで作業を行ない、その原稿については事なきを得た。
/home、/local、/spool、/workが一度に失われたため (最近バックアップをとってなかったことは恥ずかしくてひとには言えない)、 同じ場所で復旧する気力はちょっと起きない。 とりあえず、部分的に残っている散在したバックアップをかき集め、 いままでただの「telnet端末」として使ってきたMacとWindowsに、 仕事の作業環境とメイル環境だけはとりあえず移した。 新天地のGUIな環境は基本的にgrepもawkもsedもviもRCSもspellもない世界だ。 気軽に出力をファイルにリダイレクトもできない。 テキスト指向な環境と比べて何倍も疲れる。 夕食は(記憶しているレシピをたよりに)レンズ豆とスーチカとキャベツの煮込みを作った。うまかった。
メイルもいままではUUCP over IPなどという「いにしえ」のテクノロジーでの接続だったが、 使う分には快適だった。 しかし、メイル経路も変更せざるをえず、 この歳になって初めてPOPサーヴァー経由でのメイルを体験することになった。 メイルが瞬時に相手に届き、ずいぶん早く返事が返ってくることにあらためて感動する。 Eudora、OutlookExpress、Netscape等ひととおり試し、Arenaというのを使うことに一応決める。 でもこれもMHの快適な環境からは程遠い。 実際、いままでMacやWindows-PCは「 仮名漢字変換機能と英和辞典のついた便利な端末装置」としてしか認識していなかった。 だからキーボードや画面の質にこだわることがあっても、 中に入れるソフトウェアについてはあまり気にしていなかった。 何年分もの勉強不足がたたって、新しいソフトウェアの設定にとまどう。 使い慣れていないメイルソフトやエディターは、セラミック庖丁の切れ味を思い出す。
締め切りが3つ同時にやってくる。クルミ入りのブラウニーを焼いた。 この時期は材料のSemi Sweetのチョコレイトが品切れで手に入りにくくなる。 メイル環境の整備に手間取っていて時間に余裕がない。 そうこうしているうちに、近所の公園の桜並木の満開の時期を逃してしまった。くやしい。
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